オーストラリア・ビクトリア州の野生動物救護記録を調べた研究で、建物を利用する動物の記録の半数を、2種類のポッサムが占めました。論文は2026年9月2日に学術誌『People and Nature』で公開され、翌3日にBiodiversity Councilが紹介しました。人の建物が動物のすみかとして果たす役割を考える研究です。

分析に使ったのは、Wildlife Victoriaの2013〜2022年の記録です。建物を利用する在来動物36種について、2,399件を分析しました。9月に公表された研究ですが、今年起きた出来事を集めたものではありません。

記録の26%をbrushtail possum(Trichosurus vulpecula)、24%をringtail possum(Pseudocheirus peregrinus)が占めました。この割合は分析対象の記録に占める比率であり、地域の住宅の半数にポッサムがいるという意味ではありません。

Biodiversity Councilの発表で、研究を率いたBethany Kiss氏は、都市の拡大や自然の樹洞の消失に伴い、建物が代わりの生息場所になっていると説明しています。樹上で暮らす動物は高い位置の空洞を、地上で暮らす動物は建物の下の空間を利用する傾向があるといいます。生息地の喪失との関係は研究者の解釈として受け止める必要があります。

Kiss氏は、偶然できたすみかに頼るだけでなく、ポッサム用の巣箱など、共存に役立つ設備を意図して設計することを提案しています。著者らの解説も、隙間のある古い建物が気密性の高い建物に置き換わることで、動物が使える場所が失われる可能性を指摘します。共存を支えるには、設備だけでなく、教育や建築規則、住民が野生動物との暮らしをどう受け止めるかも課題だとしています。

ただし、救護団体への通報には偏りがあります。問題が起きて連絡された事例が集まりやすく、介入を必要としない共存は記録されにくいと論文は説明しています。今回の結果は、建物を使う野生動物の全体像や、生息地喪失の影響の大きさをそのまま示すものではありません。

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